本プレスリリースは全文、以下からPDFでダウンロードできます。
1)プレスリリース本文
2)別添1_自由回答欄に寄せられたコメント
3)別添2_子ども用アンケート結果
報道関係各位・プレスリリース2025年5月20日
子供の広場は子どもの広場
江戸川区西葛西「子供の広場」利用者アンケート結果発表。
飲食店は半数以上、飲酒・駐車場は7割以上が不要・反対を表明。自由回答に、住民の多様な思いが顕在化
〜 パークPFIで、子どもの育ちと地域の憩いを担ってきた公園は、どう変貌したか?

「子供の広場(東京都江戸川区西葛西6ー11ー1)」は、1984年の開園以来、世代を超えて親しまれてきた公園です。江戸川区のパークPFI事業により、2025年1月にリニューアルオープンしました。飲食店や駐車場の新設、遊具やトイレの刷新が行われ、歓迎の声がある一方で、疑問や不満の声も多く発せられています。
そこで地域の有志グループ(名称:子供の広場は子どもの広場)は、2025年4月から1ヶ月間、独自に利用者アンケートを実施。その結果、新設された飲食店に関しては半数以上、アルコール提供および駐車場に関しては7割以上が、「不要・反対」という結果となりました。さらに特筆すべきは自由回答に寄せられた多数のコメントで、この公園への住民の思いが顕在化した形となりました。
本プレスリリースは、アンケート結果を公表することで、江戸川区の公園リニューアル事業、さらには日本全国で進むパークPFIや都市公園行政の在り様を問い直すきっかけとすることを目指しています。
1.アンケート実施の背景
「子供の広場」は、東京メトロ東西線・西葛西駅から南へ約200m、幹線道路に面しながらも豊かな緑に囲まれ、40年以上、子どもの育ちと地域の憩いを担ってきました。巨大な
恐竜の遊具があることから、「恐竜公園」「怪獣公園」の愛称でも親しまれてきました。
リニューアル前、東側エリアは自由広場でした。樹木に囲まれた貴重な「土」の地面で、園児のお散歩やミニ運動会が行われたり_親子で自転車の練習をしたり、放課後の小学生が鬼ごっこや縄跳びをする姿が日常風景でした。休日にはお祭りやイベントも開催され、地域で様々に活用されてきました。
リニューアルによって、江戸川区は自由広場の南側にあった大きな樹木のほとんどを伐採、地面をアスファルトで舗装し、そこに飲食店用の店舗棟2棟を建設しました。また遊具やトイレがある西側エリアでは、遊具の真横に駐車場を新設しました。
これらについて、計画段階で住民から懸念の声が上がり、店舗棟建設見直し、アルコール提供反対の署名が江戸川区に提出されましたが、最終的に計画が見直されることはありませんでした。リニューアル後にも、江戸川区は住民の自由な意見を聞いたり、その内容を発表するといったことはしませんでした。
そこで地域の有志グループ「子供の広場は子どもの広場」は、実際の利用者を対象に、新しくなった「子供の広場」について自主アンケートを実施。約1ヶ月で100名超の回答を得ました。
<参考1>子供の広場・リニューアル前後のイメージ
2.アンケート概要
調査タイトル
調査期間
調査対象
調査方法
回答方法
回答数(2025年5月16日現在)
※アンケートは大人用と子ども用の2種類。集計結果は大人用のみ。子ども用の結果は「別添2」参照。
3.アンケート結果
1)飲食店:歓迎する声は1割程度。自由広場のままを望む声が半数以上
店舗棟は7軒が入居できる作りで、2025年5月17日現在で4軒が入居(1軒が準備中)、営業しています。これに対し「できて良かった」は11.2%、「自由広場のままが良かった」は56.9%でした。
後者について自由回答では、自由広場の消滅を惜しむ声、駅周辺に多くの飲食店がありながら店舗を建設したことへの疑問、店舗棟の全面ガラス張りを危険視する声、子連れで入れる気軽なカフェではなく(計画段階では「フードコート」と表現されていた)価格の高い焼肉屋や居酒屋だったことへの失望の声などが寄せられました。「明らかに子供の広場の利用者のニーズとかけ離れてる、また価格帯も高いと感じる」という声が、多くの方の気持ちを代弁しています。

2)アルコール提供:「問題ない」は1割以下。反対または制限希望が7割以上
2025年5月17日現在、営業中の飲食店は「ワインバル」「日本酒酒場」「アジアン酒場」「焼肉と日本酒の店」です。日中から深夜までアルコールを提供し、一部では飲み放題も提供しています。
子どもが遊ぶすぐ横でアルコールが提供されていることについて、「問題ない」は9.6%にとどまり、「そぐわない」が43.0%、「提供時間を限定」が30.7%と、合計73.7%がアルコール提供に反対、または制限つき提供を望む意見でした。自由回答では、「子どもの広場です。大人の広場ではない」「駅前の繁華街の延長?」「江戸川区は公園で昼から堂々と飲酒するような品のない街を目指しているのか?」「区をあげて飲酒を推進しているのか?」など厳しい声が多数寄せられました。
3)西側エリア:新設遊具は一定の評価あり、ただ「数が少ない」「狭い」という声多数
西側エリアは、新たにインクルーシブ遊具やバリアフリートイレを導入、シンボルである2体の恐竜は残され、この点には一定の評価が集まりました。しかし遊具の少なさ、砂場面積が半分以下になったこと、さらに遊具エリアに食い込む形で駐車場ができたことに対しては多数の批判が寄せられました。
リニューアルで東側エリアに店舗棟ができたため、実質、子どもが遊べる場所は西側エリアに限定されたのが現状です。遊具や砂場は幼児には適切ですが、小中学生にはもの足らず、「(自由広場が無くなって)小中学生が身体を動かして思い切り遊べる場所がなくなった」との批判が複数ありました。
これら様々な要素があることから、本設問への回答は大きく分かれる結果となりました。
4)東側エリア:江戸川区は「遊び場」とするも、「遊びやすいとは思えない」が7.5割超
工事開始後の2024年3月、店舗棟建設に疑問を持つ住民に対して江戸川区は「店舗前のアスファルト部分は、今までの自由広場と同じ広さ(770㎡)を確保し、子どもたちが遊びやすいよう黄色くゾーニングする」として、「ここは引き続き遊び場である」との見解を示しました。(次ページ<参考2>)。
しかしリニューアルオープンから3ヶ月、黄色いエリアについて、75.7%が「遊びやすいとは思えない」と回答。自由回答では「通行人が多く子どもが遊ぶ場としては危険」「店舗のための通路・入口にしか見えない」「江戸川区の『遊びやすいようにゾーニング』はうわべだけの言葉にしか聞こえない」「木陰が無くなり、アスファルトでは夏は灼熱地獄。危険で遊べない」などの批判が寄せられました。
<参考2>江戸川区が2024年4月(リニューアル工事開始直後)に住民に提示した図
以下からダウンロードできます(PDF:江戸川区の公式サイトへ)。
<参考3>東側エリアの黄色いゾーニング部分(2025年3月撮影)
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2023年ごろの自由広場 |
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2025年5月、上記と同じ場所から撮影 |
5)駐車場:「ないほうがいい」が7割超。遊具近接で、危険性に批判が噴出
リニューアルで、コインパーキング式の駐車場が新設されました。これに対して「できて良かった」は11.2%、「ないほうがいい」が75.5%となりました。
駐車場は遊具エリアの中にできたため、「そのエリアを子どもの遊ぶところに使って欲しい」など、遊べるスペースを狭くしていることへの批判が多くありました。
また駐車場と遊具エリアを仕切るのは杭とプランターだけであり(2025年5月現在)、すき間からの子どもの飛び出し、突っ込み事故などを危惧する声が多数寄せられました。「小さい子が死んでも良いと考えて、ここに駐車場を作ったとしか思えない」と、激しい憤りを感じさせる声もありました。「車で遠方から来るような人のための公園ではなく、徒歩や自転車で来る近隣住民のための公園ではないのか?」など駐車場の存在を疑問視する声も多く見受けられました。
さらに公園内の飲食店に食品を搬入するトラック等が、駐車場には停めずに、子供の広場横の二車線道路に路上駐車しているのを頻繁に見かける、との声も複数寄せられました。この二車線道路は清新町方向から西葛西駅に向かう道で、通勤通学はもちろん、駅前の塾やスポーツクラブなど習い事に通う子どもが多く通る道です。路上駐車の増加で、安全性の低下が危惧されます。
6)自由回答に寄せられた膨大な「声」に、地域住民の思いが顕在化
アンケート各設問では、選択肢回答の他に、各々自由回答欄を設けました。またアンケートの最後に、全体を通して自由に書き込んでいただける欄も設けたところ、大変多くの方にコメントをいただきました。
寄せられたお声は、「別添資料1」でご覧ください。「別添1_自由回答欄に寄せられたコメント」をダウンロード
7)子ども用アンケートも実施
「公園の利用者はまずは子ども」という視点から、幼児から小学生を想定した「子ども用アンケート」も実施しました。保護者を通じた依頼で回答数は8件にとどまりましたが、保護者のサポートを受け回答してくれたであろう幼児や小1のお子さん、自分の言葉で書き込んでくれた小4、小5のお子さんなどから、それぞれ真摯な声が寄せられています。
子ども達の声は、「別添資料2」でご覧ください。
「別添2_子ども用アンケート結果」をダウンロード
4.識者コメント
埼玉大学 名誉教授 岩見良太郎先生

アンケート結果から、江戸川区がおこなった「子供の広場」のリニューアルに対し、住民が、非常に厳しい見方をしていることが一目瞭然となった。しかし、何よりも興味深いのは、自由回答に寄せられた、細部にわたる多くの住民の生の声である。もし、これらの声を活かして公園をつくることができれば、どんなにすばらしい公園ができたかと思わせるものだ。公園づくりは、ダイアモンドを、さまざま住民の願いによって、多面的にカットし、磨きあげるようなものである。公園への、住民の思い・欲求が多様であるほど、ダイアモンドの輝きは増す。今回のアンケート結果は、住民の公園まちづくりにとって、大きな宝となるはずである。これを、まちづくりのエネルギーに、“住民の公園”づくりに向け、さらなる一歩を踏み出していただきたい。なお、今回のアンケート活動は、パークPFIによる公園づくりで、同じ問題に向き合っている、全国各地の住民に大きな励ましと展望を与えるものである。
私たち「子供の広場は子どもの広場」は、アンケートで寄せられた声を広く発信するとともに、地域住民にとって、特に子ども達にとって本当に価値ある公園とはどうあるべきかを探り、今後とも提示して参る所存です。
以上
<本件に関するお問い合わせ先>
子供の広場は子どもの広場
kaiju.park.nishikasai@gmail.com
プレスリリース内で使用しているグラフ、画像等は、データでご提供可能です。
誠にお手数ですが、上記までご連絡ください。
<参考>
◆「江戸川区総合レクリエーション公園等におけるリニューアル事業」について
「子供の広場」を含む、江戸川区総合レクリエーション公園等のリニューアル事業については、以下をご参照ください。
◆「子供の広場は子どもの広場」について
子供の広場近隣に在住し、「子供の広場は、まずは子ども達のための広場であってほしい」と考える住民が集まり、ボランティアで運営しているグループです。
◆過去の活動
「子供の広場」リニューアル計画に対し、過去に2回の署名活動を行っています。
◆メディア掲載歴
◆アンケート収集方法について
アンケートは、主に印刷したQRコードを回答者に提示し、スマートフォン等で読み取って回答していただきました。以下のリーフレットは、その際に使用した一例です。